関係と出逢いの遂行性 ― ともにいることから
人は国籍や文化、言語、立場といったさまざまな枠組みによって分類されながら生きている。
しかし、人と人としての「関係」は、そうした属性の枠組みによって一義的に定まるものではない。同じ時間と場を共有し、互いに向き合う行為のなかで、関係は少しずつ形成されていく。
2001年から現在まで、学校や地域といった、人々が日常的に時間を共有する場を基盤に、特定のコミュニティにいる人々と時間を重ねるプロジェクトを行ってきた。2013年以降のプロジェクトでは、作家と参加者の関係にとどまらず、参加者同士の出逢いが生じる「場」をつくることにも注力している。
互いに向き合い、時間を共有することそのものを、他者を知り、関係を編んでいくための遂行性(performativity)の行為として捉えている。
最も長いプロジェクトでは、20年を超える時間の中で出逢いを繰り返し、社会や状況の変化をともに経験し続けてきた。その過程そのものが、制作の基盤となっている。
その過程を記録するカメラは、関係が生成され続ける場に関与し続けるための方法として用いられている。継続する時間と関係を中心とする作品の中で、協働する人々が置かれる社会的・文化的背景は、説明としてではなく、関係の内側に内在するものとして現れる。
こうした出逢いの過程を、観覧者が追体験する新たな「場」として、多メディアで構成するインスタレーション作品を主に発表している。
互いに向き合った痕跡の断片──写真、映像、音、オブジェなど──によって再構成されたインスタレーションは、関係のあり方を多層的な経験として示唆している。
生成し、更新され続ける関係を見つめ続ける行為は、多様な背景を持つ人々が互いの個性を認識し、相互理解を構築するための実践として、固定概念として用いられがちな社会的偏見や属性の枠組みを、関係そのものが重ねてきた時間から捉え直そうとする試みである。